月曜日の仕事は、まず除雪から始まった!!
全国的に寒波が訪れ、森林組合事務所も真っ白になってしまった。
職員総出で、事務所の除雪を行ったが、
今回の雪は水分が多く、かなりの重労働・・・全て終えるのに一時間ほどかかってしまった。
12月上旬にしては珍しく、10cm近く積もっていた。
今回から、森林組合について語ろうと思う。 大きく分けて、
一つ目は 森林に対する考え(過去)
二つ目は 森林に対する考え(現在)
三つ目は 森林・自然環境を生かした事業
森林に対する考え(過去)について。
日本の国土は約7割が森林!
その内約7割が個人が所有する森林となり、これを「私有林」もしくは「民有林」と言い、
その、個人が所有する森林を中心に管理を行っているのが、我々森林組合!。
そもそも、森林組合とは?
「森林組合法」という法律に基づいて設立されており、
当森林組合は、
付知町内に森林を所有されている方が組合員となって、組織されている共同組合です。
(現在、岐阜県には森林組合が20組合あります。)
森林組合の仕事とは?
第一印象として、どう思われるだろう。
「組合員の森林を守り・育てる!!」
それも正解だが、仕事内容は各森林組合によって異なる部分もある。
森林整備を中心に仕事を行うのは当然!森林組合として一番大事な部分であり、核となる仕事だ!
ただ、森林・自然を生かすために、木材市場・製材・住宅関係を経営したり、ミネナルウォーター・木工製品の製造販売等を行うなど、試行錯誤をしながら仕事を行っている。
付知町森林組合としても、
核となる森林整備以外に、森林・自然教育・レクリエーションの場としてキャンプ場経営を行っている。
キャンプ場業務については後々とし、
まずは、森林組合の核となる事業、森林整備について。
森林整備(森林の手入れ)といっても、作業には色々と種類があり、
『植栽 下刈り 除伐 枝打ち 保育間伐 利用間伐』 と分類される。
終戦後に植栽された木が、現在伐採時期となっている木が多い。そもそも先人達が大事に育み守って来たからだ。
いざ、建築材に利用したいと思い立ち、木を伐ろうと考えても、適時の手入れが行われていなければ、良い木が育つはずもなく、利用価値は低くなる。
当時の林業は、『森林や自然を守る』と言うより、日々の生活に欠かせない存在であったから、
より大事に育み守って来たのだろう。
付知の古い資料を見ても、明治時代頃の重要産物として、
養蚕(まゆ、生糸、蚕種) 農産物(米、麦、大豆) 林産物(木材、薪、炭) が上げられている。
それ以外に、伐った木材を当時は川を使い山から運び出しており、その作業をするため毎年数百人もの日雇人が来ていたため、付知の商店や飲み屋は活気があったとも記されている。
戦後の付知を支えたのも 『木と木に関連する産業』
付知営林署(現在の東濃森林管理署)から伐り出された木材を中心とした、製材工場・木工工場が次々に活況を呈するようになった。製材工場の機械化が少しずつ進み生産量も向上するにつれ、町民の現金収入も増えていった。
爆撃で焼失した都市家屋の復興などで全国的に建築ブームが巻き起こり付知にも建築大工が増え、昭和23年頃から、『付知の木と付知の大工』で愛知県下などでヒノキの家を造る事が始まった。(現在の産直住宅の皮切り)
また、石油石炭不足に偉力を発揮したのが木炭だった。
昭和30年代までは、付知のいたる所で炭を焼く煙がみられたそうだ。
今も現地を歩くと、炭焼きの跡地が見受けられ、木炭に使う広葉樹も大事にされていた事が分かる。
森林組合の仕事に話を戻そう。
森林資源は永久ではない。
例えば、所有している山の木を、建築材に使用するために全て伐ったとしよう。
当然、山は丸裸となってしまう・・・
その後、またヒノキなどが生えてくるか?
笹や雑木(利用価値がないもの)は成長して来るが、ヒノキ・スギなど針葉樹(冬でも葉が緑色をしている木)には再生能力はない。
永久資源にするためには、人の手により、伐ったら植える、
『 植 栽 』 という作業がが必要となる。
ただ苗木を植えるだけではダメ!!
植栽を行うために、伐った後散らばっている枝などを整理して、苗木が育ちやすく、また今後の作業(下刈りなど)が行いやすいように整地。これを「地ごしらえ」と言い、 上の写真に所々筋状に見えるものがそうだ。
良い木を育てるには、丁寧な植え付けが大切。植え付け方法が悪いと枯れてしまう・・・
植え付けは、春もしくは秋に行い、1本1本手で植え、
1ha(100m四角)当たりに約2000本~3000本植えるのが一般的。
植える苗木にもこだわり!!
付知の山に植える苗木は、付知で生産!!
森林組合より委託を受けた生産者が、種を採取し苗畑で3年かけて丹念に育てます。
野菜は単年出荷。ヒノキ苗は出荷までに3年かかり、生産には手間がかかる。
次に、植栽を行った苗木が、草などに負けないように、
『 下刈り・除伐 』作業が必要!
苗木が元気に育つように!
下刈りは、土の中の栄養や水分を座雑草に奪われたり、日光が遮られるため雑草を刈り払う作業となる。
植栽後、6~7年間毎年続ける作業です。
除伐は、下刈り作業を終えた後、雑木などが植栽木の成長を阻害始める時に行う作業となる。
3年~5年間隔で雑木を刈り払います。
現在は、草刈機を使いますが、昔は鎌を使っていた。
次に、節のない質の良い木材へ、
『 枝打ち 』作業が必要!
節がなく、丸く均一な木材に!
枝打ちは、植栽後10年目頃から、節なく丸く均一な木材をつくるために行う作業となる。
一度に枝を打ち上げるのではなく、植栽木の成長に合わせ、徐々に行う。
最終的には、地上から4m~6m以上打ち上げます。
早目に枝打ちを行うと、切り口(節)が幹につつまれ、節の見えない木材が出来ます。
右上の写真は、傷が付いている部分を出してみた。このような傷は製品にした場合価格が下がってします。
現在は、ノコギリを使いますが、昔は鉈を使っていた。
植栽木から良質なものを選りすぐる!
『 保育間伐 』作業が必要!
ノビノビと丈夫な木に!
保育間伐は、木と木の間隔を広くし、十分に日光が当たるように、木を間引く作業となる。
植栽後、15年程経過すると、木も枝も大きくなり、木全体や地面に日光が当らなくなり、木が中々太れなくなります。
作業としても、ただ伐れば良いのではなく、「成長は良いか?曲がっていないか?傷はないか?」を確認し、
残す木を決め、木と木の間隔を見極めながら、伐る木を選びます。
森林の状態によって異なるが、間伐率は30%を基本としており、
例えば、10m四角の中に、ヒノキが10本あったとしよう。今回、保育間伐として伐る木は、その内3本となる。
作業としては、建築材に利用可能な太さになるまで2回ほど行い、伐り倒した木は細かく伐り、自宅の薪として活用する他、土壌の肥料としてその場に残すことも。
木が太るということは、成長の証。また、根も強く張り水分を蓄え、土砂崩れから森林を守る働きも!!
森林の資源活用に!
『 利用間伐 』作業が必要!
保育間伐だけでは、資源の活用にならない!
利用間伐とは、植栽後35年目頃から、太い木もしくは良質な木を中心に、森林から木材を運び出す作業となる。
保育間伐と同じように、間伐率は30%を基本としている。
残った木が、また大きくなり、10年後には利用間伐が実施可能となる。
林道・作業道まで運び出した木材は、最寄りの木材市場へ運搬し、共販となる。
木材市場にて販売された木材の売り上げから、利用間伐にかかった事業費を差し引きしたのが、
植栽から約50年の時間を経て、利益となり、森林所有者の手元に届く!!
森林所有者は、この利益を植栽を行うための費用に充てる・・・
伐ったから植えるのではなく、『伐らさせていただいたので、植える(現状復帰のため)』
と先人は考えていた。 今でいう循環出来る森林!!
森林は、このように循環出来るのが本来の姿。ただ、現状はそうではない・・・悲しい話だが。
それは、また次回としよう。
つづく